企画における「目標」と、「ユーザー体験」
10億円を売り上げる、という目標
例えば、あなたがお菓子メーカーの企画職だとします。(人気の職種ですね!)
それで、将来有望なあなたは、社長から直々に「売上目標10億円」の新商品のプランニングを依頼されます。(お菓子メーカーの売上として、10億円が高いか、低いかもわからない、適当な数字なのですが。)
あなたにとって、この「10億円」という数字は、もちろん目標ですし、絶対に達成しないといけません。ですが、立ち止まって考えると、この「10億円」という数字が、あなたの「お菓子の企画」を助けてくれるのか、というと、正直疑問があります。(いや絶対に助けてくれません。)
残念ながら、企画のフェーズにおいては、こういった「数値目標」のみを頼りに、アイデアを出し始めることが多々あります。
企画における「目標」とは
私は、このような数値目標を、「前提」や「大目標」といった言葉に置き換えたりします。
もちろんこの「10億円」という数字を達成する見込みがない「企画」は承認されないので、一つの大事な「制約条件」にはなります。ですが「10億円」という数値が、企画を立案するに「役立つ」かというと大いに疑問です。
では、何が企画における「目標」として最適か、といえば、そのような「数値目標」を現すものではなく、「ユーザーにどのような体験をしてもらいたいのか」という方向性です。
今回でいえば、10億円を達成するためのお菓子は、ユーザーにとって、「ラグジュアリーな気分にさせるもの」なのか、それとも「コストパフォーマンスが良いと満足する」ものなのか。他にも沢山あると思いますが、もっとも10億円に近いであろうと思う「体験」を設定するところから始めます。
(最初に設定して「体験」案が、後々変わることは多くあります。まずは一旦決めてみることが大事に思います。)
「ラグジュアリー」か「コスパ」か、これが企画の方向性であり、ユーザーに「体験」してもらいたい状態です。言い換えるならば「目標」になります。
「体験」を実現するのが「企画」
例えば「ラグジュアリーな体験」を実現しようとした場合に、次に、様々な方法論を考える、このフェーズが「企画」のフェーズとなってきます。前述のお菓子でしたら、「パッケージデザイン」や「パッケージの紙の質」といったものがラグジュアリー感を出すかもしれませんね。
「サービスを作る」、「企画を考えるプロセス」は、目標(企画の方向性・実現するべきユーザー体験)と、企画(それを実現するための具体的な方法論)が、常に揺れ動いて、最後まで確定するものではありません。
広義の「企画」という行為は、というのは、その二つ「ユーザーに体験してもらいたい目標」と「それを実現する方法論」をそれぞれ探しながら、大きな前提条件・大目標をクリアできるものを見つける工程なのかもしれません。
- 1(ここで語られる)「企画」はどのようなものなのか。
- 2企画に関する誤解
- 3改めて「企画」というもの
- 4企画に関する登場人物整理
- 5課題とはなんなのか
- 6「課題」発見の手順
- 7「課題」発見における、「目的」の重要性
- 8コンセプトの簡単な見つけ方
- 9企画を説明するプロセス
-
10企画における「目標」と、「ユーザー体験」
- 11「あったほうがいいかも。」という呪い
- 12「アイデア」の選びかた
- 13データが現す「過去」と、企画が考える「未来」
- 14「白」か「黒」、あるいはその「中間」という選択
- 15世界は単純なのか、複雑なのか。
- 16[概論] 論理的思考ってどうやるんですか?
- 17私たちは解決方法を見つけてしまう
- 18アイデアの価値
- 19神は細部に宿るのか。
- 20「抽象化」を考える
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