神は細部に宿るのか。
子供の絵
小さい子が絵を描くところをみていると、「自分が描きたいところ」から絵を描き始めます。
例えば、主人公の目の部分であったり、キャラクターが持っている武器であったり、特徴的な髪形であったり。
最終的にはとてもかわいい絵になるのですが、冷静にみると、頭や手や目のバランスが悪かったりします。それ自体はとても愛らしいものですが。
大人も細部に囚われる
これって、子供だから発生する話ではなくて、皆さんも同じように、大人になっても同じ状況が頻繁に発生します。
何かを考えるときに、細かい仕様にこだわったり、特定の機能にばかり注力したり、そればかりにこだわって、全体的な視野をもてない状況です。
子供だったら可愛らしいで済むのですが、大人はそういうわけにはいきません。
何かを考える時は、「子供の絵」のようになっていないか、「自分が細部に囚われすぎていないか」を常に意識する必要があります。
企画におけるデッサン(下絵)
それを解決する方法としては「全体的な視点をもつ」ことなのですが、どのようにして「全体的な視点を手に入れる」のでしょうか。
絵を書くときの「デッサン」を辞書を引くと、以下のように書かれています。
「絵画・彫刻の着想の大体をかき表す下絵。素描。」
実は、企画においても、ビジネスにおいても同じ事です。絵を上手な人がデッサンをかくように、ビジネスおいても、プロダクトにおいても、全体を俯瞰できる下絵を意識するべきです。
- プロダクトであれば、必要最低限の仕組み(プロトタイプでも、MVPでも)つくって、使ってみることです。
- 業務プロセスの設計であれば、サプライチェーン全体を最初から最後まで考えてみることです。
- 小説であれば、プロットを書いてみることです。(小説を書く機会はなかなかありませんが。)
私たちは、子供の絵のように、細部にこだわりがちで、全体的な視点を見失います。
その場合はとりあえずで構いませんので「ゴールまで歩いてみる」(仮のプロダクトを作ってみる、業務フロー全体を設計してみる、プロットを書いてみる)ことをオススメします。
そうすることで本当にこだわらなければいけない、力をいれないといけないポイントが明確になってくると思います。
「細部にこだわらないといけない状況」は戦略的な敗北
もし「細部にこだわらないといけない」状況があるとすると、戦略的にすでに負けてるかもしれません。
その際は自分自身が「差別化要素が限りなく少なくなっているレッドオーシャン」のど真ん中にいる可能性があります。
「神は細部に宿る」という言葉から、「細部にこだわることをヨシとする」考え方があります。
細部にこだわることはとても大事ですが、企画者は本質的には「細部にこだわらなくても勝てる」構造を心掛けるべきです。
- 1(ここで語られる)「企画」はどのようなものなのか。
- 2企画に関する誤解
- 3改めて「企画」というもの
- 4企画に関する登場人物整理
- 5課題とはなんなのか
- 6「課題」発見の手順
- 7「課題」発見における、「目的」の重要性
- 8コンセプトの簡単な見つけ方
- 9企画を説明するプロセス
- 10企画における「目標」と、「ユーザー体験」
- 11「あったほうがいいかも。」という呪い
- 12「アイデア」の選びかた
- 13データが現す「過去」と、企画が考える「未来」
- 14「白」か「黒」、あるいはその「中間」という選択
- 15世界は単純なのか、複雑なのか。
- 16[概論] 論理的思考ってどうやるんですか?
- 17私たちは解決方法を見つけてしまう
- 18アイデアの価値
-
19神は細部に宿るのか。
- 20「抽象化」を考える
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